AIで業務自動化できる作業はどれか──毎日の定型作業の例と見分け方を静岡のAI会社が解説【2026年版】

「毎日同じ作業をくり返しているけれど、これはAIで自動にできるのだろうか」。AIによる業務自動化を考え始めた方が、最初に迷うところです。AIで自動にしやすい作業と、AIに任せないほうがよい作業は、ある程度はっきり分かれます。この記事では、定型作業を「入力・転記・確認・判断」の4つに分け、それぞれの例と見分け方を、静岡のAI会社の立場から説明します。最後に、自社の作業を仕分けるための質問も載せます。

AIで自動にできる業務には、どんな例があるのか

AIで自動にしやすいのは、紙や声を文字にする作業、文章の下書きをつくる作業、決まった質問に答える作業の3種類です。反対に、人の判断で結果が変わる作業は、AIに任せきりにするのは向いていません。

まずは、中小企業でよく見かける作業を部署ごとに並べてみます。

部署 AIで自動にしやすい作業の例 人が残る部分
総務・事務 会議の録音から議事録の下書きをつくる 決まったことの確認
経理 請求書の文字を読み取り、項目ごとに入力する 金額と取引先の最終確認
営業 過去の資料をもとに、提案書や見積もり文の下書きをつくる 値引きや条件の判断
お客様対応 営業時間・料金などの決まった質問に答える 例外の相談、クレーム
現場 声で話した内容から日報の文をつくる 書かれた内容の確認

表を見ると、どの作業にも「人が残る部分」があることが分かります。AIによる業務自動化は、作業を丸ごと消すものではありません。作業の中の「書く」「探す」「読み取る」部分をAIが引き受け、人は確かめる側に回る、という形がほとんどです。

公的な調査でも、使われているAIの多くは文章や声を扱うものです。中小企業基盤整備機構の調査(2025年11〜12月実施)で、AIを導入済みの会社に使っているサービスを聞いています。最も多いのは「生成AI」の82.6%で、次いで「音声認識・音声対話AI」が29.8%でした。同じ調査で、AIの導入目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%と、ほかの目的を大きく上回っています。

決まった作業は「入力・転記・確認・判断」のどれに当たるか

毎日の決まった作業は、ほとんどが「入力・転記・確認・判断」の4つの組み合わせでできています。作業を丸ごと見るのではなく、この4つに分けて見ると、どこをAIに任せられるかが分かりやすくなります。

種類 中身 AIとの相性 例
入力 紙・声・写真の内容を文字にする 向いている 手書きの注文書、会議の録音
転記 ある場所の情報を別の場所に写す AIより普通の仕組みが向くことが多い 受注表から請求書へ写す
確認 決まった基準に合っているかを見る 下見なら向いている 書類の記入漏れの洗い出し
判断 状況に応じて、どうするかを決める 任せきりは向かない 値引き、例外の受け付け

入力:紙・声・写真を文字にする作業

入力は、AIがいちばん力を発揮しやすい作業です。手書きの書類を読み取る、会議の録音を文字に起こす、写真に写った内容を書き出すといった作業は、以前は人が手で打ち込むしかありませんでした。

当社が開発に関わった例を1つ紹介します。舞台は静岡県駿東郡清水町の福祉事業所、NPO法人ティンクル「多機能型事業所あぐれす」です。ここでは、日報を書いて提出し、印刷して家族に渡す作業が、支援の時間を圧迫していました。そこで、声で話した内容からAIが日報の文をつくり、PDFの作成と印刷まで一続きでできる仕組みにしました。ICTに不慣れな人が多い現場だったため、画面のメニューを絞ったことも大きな点です。導入後は、スタッフから「思っていたより全然簡単で使いやすい」という声が出ました。

下書きづくりも「入力」の仲間

生成AIが得意な文章の下書きも、入力の仲間として考えると分かりやすくなります。議事録や日報、お客様への案内文、社内向けの通知文などは、材料さえそろえばAIが最初の形をつくれます。

ここで大切なのは、AIに渡す材料を人が用意することです。会議の録音、過去の案内文、箇条書きのメモといった材料がそろっていれば、下書きの質は安定します。反対に、材料のないまま「いい感じに書いて」と頼むと、もっともらしいけれど中身の薄い文が返ってきます。下書きを任せるときは、何を材料にするかを先に決めておきましょう。

転記:ある場所から別の場所へ写す作業

転記は、受注表の内容を請求書に写す、問い合わせフォームの内容を顧客の一覧に写す、といった作業です。手間がかかるわりに、間違えると後で困るため、多くの会社で負担になっています。

ただし、写す元と写す先の形が決まっているなら、AIを使わなくても自動にできることが多い作業です。この点は、次の見出しで詳しく説明します。

確認:決まった基準に合っているかを見る作業

確認は、記入漏れがないか、金額が合っているか、決まりに沿っているかを見る作業です。AIは、人が見る前の「下見」として使うと役に立ちます。例えば、申込書の空欄や、日付の書き方のばらつきを先に洗い出してもらう使い方です。

一方で、最後の確認までAIに任せるのはお勧めできません。AIの答えには、もっともらしい間違いが混ざることがあるからです。AIの答えの精度が落ちたときの見分け方は、AIの精度が落ちたときの原因と直し方の記事で説明しています。

判断:状況に応じて、どうするかを決める作業

判断は、値引きに応じるか、例外の注文を受けるか、クレームにどう返すかを決める作業です。ここは、AIに任せきりにするのは向いていません。AIにできるのは、判断に使う材料をそろえたり、返事の下書きをつくったりするところまでです。

AIより普通の仕組みのほうが向く作業はどれか

決まった形の情報を、決まった場所に写すだけの作業は、AIより普通の仕組みのほうが向いています。表計算ソフトの関数や、決まった操作をくり返す自動化の道具で足りることが多く、そのほうが間違いも少なくなります。

理由は、AIの答えが毎回まったく同じになるとは限らないからです。生成AIは、同じ指示でも言い回しや中身が少し変わることがあります。文章の下書きならそれで構いませんが、金額や品番を写す作業では、毎回同じ結果になる仕組みのほうが安心です。

公的な調査にも、この違いが表れています。中小企業基盤整備機構の調査では、導入目的に「エラー・ミスの軽減」を挙げた会社は、ITツールでは41.5%だったのに対し、AIでは24.2%にとどまりました。ミスを減らしたいときは、AIよりも決まった動きをする仕組みが選ばれている、と読み取れます。

開発を請け負う立場から見ても、何でもAIで作る必要はありません。すでに使っている会計ソフトや表計算ソフトの設定を見直すだけで、転記の手間が減ることもあります。私たちは、まずそうした方法で足りないかを確かめてから、AIを使うかどうかを考えることを勧めています。経理の作業でどこまでAIに任せられるかは、経理まわりの業務をAIにどこまで任せられるかを解説した記事で詳しく扱っています。

普通の仕組みとAIを組み合わせる例

普通の仕組みとAIは、どちらか一方を選ぶものではありません。組み合わせると、それぞれの得意な部分を生かせます。

  1. 手書きの注文書をAIで読み取り、文字にする(入力)
  2. 読み取った内容を、決まった形の表に自動で写す(転記は普通の仕組み)
  3. 空欄や桁の違う数字をAIが洗い出す(確認の下見)
  4. 担当者が内容を見て、受けるかどうかを決める(判断は人)

このように、作業を4つに分けておけば、どこにAIを使い、どこに普通の仕組みを使うかを決めやすくなります。

AIに任せにくいのはどんな作業か

AIに任せにくいのは、人の判断で結果が変わる作業と、社内の調整が必要な作業です。こうした作業では、AIは材料をそろえる役にとどめ、決めるのは人にしておくほうが安全です。

中小企業基盤整備機構の調査では、AIを導入した後も効率化が難しいと感じる業務を聞いています。最も多かったのは「人の判断が必要な業務(営業提案、顧客折衝など)」で、67.1%でした。次いで「社内調整・意思決定など属人的な業務」が33.3%、「経営判断や戦略立案に関する業務」が31.3%です。

決まった質問と、例外の相談を分ける

お客様からの問い合わせは、AIに任せやすい部分と任せにくい部分が混ざっている代表です。営業時間や料金のような決まった質問にはAIが答え、個別の事情がからむ相談は人が受ける、と分けておくとうまく回ります。

当社が紹介している事例に、全国約1,500室を運営する民泊運営会社があります。深夜や早朝のチェックイン対応、外国語での対応が課題で、問い合わせの大半は「鍵番号」「Wi-Fi」のような決まった質問でした。AIチャットボットを入れた結果、定型の問い合わせの約70%をAIが自動で処理し、英語・中国語・韓国語で24時間答えられるようになりました。これは、問い合わせの多くが決まった質問だったから出た結果です。スタッフは、AIでは答えられない例外の対応に集中する体制に変わりました。

問い合わせのうち、どこまでをAIに任せるかの考え方は、お問い合わせを減らす方法を順番に解説した記事にまとめています。

自社の作業がAI向きかどうか、どう見分けるか

自社の作業がAI向きかどうかは、5つの質問に答えると見分けられます。当てはまる数が多いほど、AIで自動にしやすい作業です。

  1. その作業は、毎日か毎週、ほぼ同じ形でくり返しているか
  2. 作業の中心は、読む・書く・まとめる・探すのどれかか
  3. 間違いがあっても、社内で気づいて直せるか
  4. 正しい答えを示す資料や、過去の例が社内にあるか
  5. 担当者が「この作業が減ると助かる」と思っているか

1と2に当てはまらない作業は、そもそも自動にする効き目が小さくなります。3に当てはまらない作業、例えばお客様に直接届く文書やお金の支払いに直結する作業は、最初の対象には向きません。

4は見落とされやすい点です。AIは、もとになる資料がそろっているほど正確に動きます。料金表やよくある質問の答えが社内でばらばらな状態では、AIに答えさせても答えがぶれます。この場合は、AIを入れる前に資料を整えるほうが先です。

5も大切です。現場の人が困っていない作業を自動にしても、使われないまま終わることがあります。担当者が「助かる」と言う作業から始めると、使い方の工夫も現場から出てきやすくなります。

当社の代表が登壇したセミナーでも、「AIに任せるべきこと」と「人間がやるべきこと」を分ける考え方を軸にお話ししました。5つの質問は、その線引きを自社の作業に当てはめるための道具です。全部に当てはまる作業は多くありません。3つ以上当てはまる作業があれば、試す候補として十分です。

迷ったときは、作業を1日分書き出してみる

5つの質問に答えにくいときは、その作業をしている人に1日分の作業を書き出してもらうところから始めます。「何時から何時まで、何をしたか」を紙に書くだけで構いません。

書き出した作業に、入力・転記・確認・判断の印を付けていくと、意外なことが分かります。「判断」だと思っていた作業の大半が、実は過去の資料を探す「入力」や「転記」だった、という発見です。そうした部分は、AIや普通の仕組みで減らせる候補になります。

中小企業基盤整備機構の調査では、ITツールを導入済みの会社に、業務全体に占める手作業の割合を聞いています。最も多い答えは「60〜79%」で31.5%、「80%以上」も20.2%ありました。ITを入れていても、紙や手入力の仕事はまだ多く残っています。書き出してみると、自動にできる作業が思ったより見つかるはずです。

受注の事務を仕分けた例

ここでは、架空の受注事務の1日を例に、4つの種類で仕分けてみます。特定の会社の話ではなく、仕分け方を示すための例です。

1日の作業 種類 減らし方の候補
FAXや手書きの注文書を読み、内容を打ち込む 入力 AIで読み取り、人は見直すだけにする
打ち込んだ内容を、受注表と納品書に写す 転記 表計算ソフトや決まった動きの仕組みで自動にする
在庫と納期を確かめて、お客様に返事を書く 確認と入力 返事の文面はAIが下書きし、在庫は人が見る
急ぎの注文や値引きの相談に答える 判断 人が受ける。過去の対応例をAIで探しやすくする

こうして並べると、1日の中で人が考えて決めている時間は、思ったより短いことが分かります。残りの時間の多くは、読む・打ち込む・写すといった作業です。減らせる部分から手を付ければ、判断の仕事に使える時間を増やせます。

業務自動化は、どんな順番で始めればいいのか

業務自動化は、作業を1つ選び、小さく試し、結果を測ってから広げる順番で進めます。最初から部署全体や全社を対象にすると、うまくいかなかったときに原因を探せなくなります。

当社が勧めている進め方は、次の5段階です。

  1. 1日分の作業を書き出し、4つの種類に分ける
  2. 5つの質問に多く当てはまる作業を1つ選ぶ
  3. その作業に今どれだけ時間がかかっているかを、1週間記録する
  4. AIか普通の仕組みで、小さく試す
  5. 同じ方法でもう一度記録し、続けるか、やめるかを決める

3と5で同じ記録を取るのが要点です。前後の記録を比べれば、効果があったかどうかを、感覚ではなく時間で説明できます。

外部に頼むときに決めておきたいこと

社内で試すのが難しいときは、外部の会社に頼む方法もあります。その場合は、「どの作業の、どの部分を自動にするか」を先に決めてから相談すると、話が早く進みます。

依頼の範囲があいまいなまま開発を始めると、作ったものが現場の作業に合わず、手直しが続くことがあります。何を作るかを紙にまとめる手順は、要件定義を解説した記事で説明しています。静岡のシステム会社として私たちが大切にしているのは、現場の作業の流れを見てから作ることです。

相談先を選ぶときは、「AIを使わないほうがよい」と言ってくれるかどうかも見てください。転記のように普通の仕組みで足りる作業に、新しいAIの仕組みを作る必要はありません。静岡のAI会社の中にも、作ることを前提に話を進める会社と、作らない選択肢から示す会社があります。

自動にした後、人の仕事はどう変わるのか

業務自動化の後、人の仕事は「書く・探す」から「確かめる・決める・改善する」に移ります。作業がなくなるのではなく、人にしかできない部分に時間を回せるようになる、という変化です。

前に紹介した民泊運営会社では、定型の質問をAIが引き受けたことで、スタッフは例外の対応に集中できるようになりました。人が手で翻訳しながら答えていた時間が、ほかの仕事に回った形です。

当社が支援している沼津市の大田呉服店グループでは、AIチャットボット「AI女将」を稼働させて4か月の数字を、セミナーで公開しています。全メッセージの56.9%が営業時間外に届いていました。人が応対できない時間の問い合わせを、AIが受け止めていたことになります。

さらに、チャットボットに寄せられた声から毎月マーケティングレポートをつくり、小物の品ぞろえの改善に使っています。自動にした作業から出てくる記録が、次の改善の材料になるのです。AIに任せた部分の結果を人が読み、次の手を決める。この流れができると、自動化は一度きりの効率化で終わりません。

担当者の仕事が増えすぎないように

一方で、自動にした仕組みを見守る人の仕事は増えます。AIの答えを確かめる、答えられなかった質問を足す、といった作業です。導入前に「誰が、週にどれくらいの時間を使うか」を決めておくと、担当者に負担が偏りにくくなります。

社員が個人の判断で無料のAIを使い始めているなら、そちらの決まりづくりも必要です。禁止するのではなく、使ってよい範囲を決める考え方は、シャドーAIのルールの作り方を解説した記事で紹介しています。

よくある質問

Q. AIによる業務自動化と、RPAの違いは何ですか?
A. RPAは、決まった画面操作を決まった順番でくり返す仕組みです。AIは、文章や声、手書きの文字のように形が決まっていない情報を扱えます。形の決まった転記はRPAなどの仕組み、読み取りや下書きはAI、と使い分けるのが基本です。

Q. 従業員が10人ほどの会社でも、業務自動化はできますか?
A. できます。人数が少ない会社ほど、1人が抱える作業の種類が多いため、1つの作業を減らす効き目が大きくなります。最初は、毎日くり返している作業を1つだけ選んで試してください。

Q. AIに任せた作業の間違いは、誰の責任になりますか?
A. AIを使って出した結果の責任は、使った会社にあります。そのため、お客様に届く文書やお金にかかわる作業は、出す前に担当者が確かめる流れにしておきます。誰がどの段階で確かめるかを、使い始める前に決めておきましょう。

Q. 業務自動化を始めるとき、最初にどの作業を選べばいいですか?
A. 毎日くり返していて、間違いがあっても社内で直せる作業がお勧めです。会議の議事録の下書きや、社内向けの文書の下書きは、その代表です。お客様に直接届く作業は、社内での試しがうまくいってから広げてください。

Q. 自動にできた作業の効果は、どう測ればいいですか?
A. 導入前と導入後で、同じ作業にかかる時間を同じ方法で記録して比べます。1週間ずつ記録を取れば、月あたりの差はおおよそ見積もれます。金額に直すより、まず時間で示すほうが社内で伝わりやすくなります。

Q. メールの返信もAIで自動にできますか?
A. 返信の下書きをAIにつくらせ、人が読んでから送る形なら、多くの会社で取り入れやすい使い方です。送信まで自動にするのは、決まった案内だけにとどめるほうが安全です。下書きと確認で回す手順は、お問い合わせメールの返信をAIで回す方法の記事で説明しています。

まとめ

AIで業務自動化できる作業を見分けるために、押さえたい点は次の3つです。

  1. 毎日の作業を「入力・転記・確認・判断」に分けると、AIに任せられる部分が見える
  2. 入力や下書きはAIに向くが、形の決まった転記は普通の仕組みのほうが向くことが多い
  3. 判断はAIに任せきりにせず、AIは材料をそろえる役にとどめる

明日からできることは、担当者に1日分の作業を書き出してもらい、4つの種類の印を付けてみることです。それだけで、AIで減らせる作業と、普通の仕組みで減らせる作業の候補が見えてきます。

書き出してみて「どの作業から手を付ければいいか分からない」と感じたら、静岡のAI会社である私たちにご相談ください。何から手を付けるべきかだけでも、一度話しませんか。静岡のシステム会社として、作らないほうがよい作業はそうお伝えしたうえで、自動にする作業の選び方からお手伝いします。外部への相談が初めてという方も歓迎です。地元で頼める静岡のシステム会社を探している方は、Milestoneのお問い合わせからご連絡ください。

株式会社Milestone(マイルストーン)
代表取締役 大石 湧斗(おおいし ゆうと)
所在地:静岡県沼津市
中小企業向けAIシステム開発・導入支援。「AIを使う」のではなく「AIを制御する」を経営の核に据え、業務にフィットしたAI導入を伴走型でご提案。静岡県全域と隣接エリアで対面対応可能。「やりたいをできるに、できるをできたに」をミッションに、貴社の長期パートナーとして責任を持ってご支援します。

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