「去年の見積書、どこに入れましたっけ」 「あの契約書、誰が持ってます?」 「マニュアルの最新版、どれが最新ですか」
こうしたやり取りが、貴社では一日に何回起きているでしょうか。
一回あたりは、ほんの数分のことです。だから、誰も大した問題だと思っていない。探す時間は、業務日報にも残らず、経費にも計上されず、ただ静かに消えていきます。
私たち株式会社Milestoneは、静岡県沼津市を拠点に、AIシステムとAIチャットボットの開発を手がける静岡のAI会社です。今日は、この地味で、しかし確実に効いている「探す時間」の話をします。
先にお伝えすると、これは、AIを入れれば解決する問題ではありません。 散らかった状態のままでは、どれだけ優秀な仕組みを入れても、一緒に探し回ることになります。
ただし、順番があります。まず片づける。次に、置き場所と名前を決める。その上でAIに探させれば、「探す」が「聞く」に変わります。 この順番を守れるかどうかで、結果が決まります。
探す時間は、見えないコスト
まず、規模感の話から。
一日十五分が、年間でいくらか
仮に、一人あたり一日十五分を探し物に使っているとします。かなり少なく見積もった数字です。
これが十人いれば、一日で二時間半。月に五十時間、年に六百時間。 人件費に換算すれば、それなりの金額になります。
そして厄介なのは、この時間がどこにも記録されていないことです。会議の時間は数えても、探し物に使った時間を数えている会社は、まずありません。見えないものは、改善の対象にもなりません。
具体的に並べると、こうなります。
| 人数 | 一日 | 一か月 | 一年 |
| 3人 | 45分 | 15時間 | 180時間 |
| 10人 | 2.5時間 | 50時間 | 600時間 |
| 20人 | 5時間 | 100時間 | 1,200時間 |
一人あたり一日十五分、という控えめな前提での計算です。実際は、もっと多いかもしれません。 探し物は、本人も時間を数えていませんから。
探すより、作り直すほうが早い
さらに問題なのが、これです。探すのに疲れて、**「もう一回作ったほうが早い」**となる。
結果、同じような資料が二つできあがります。そして次に探す人は、どちらが正しいのか分かりません。探せないから作る。作るから増える。増えるからもっと探せなくなる。 散らかりが、さらに散らかりを生んでいきます。
聞かれる側も、止まっている
そして、探せない人は、たいてい誰かに聞きます。「あれ、どこにありますか」。
聞かれた側は、自分の作業を止めて記憶をたどります。探す人の時間と、聞かれた人の時間。両方が同時に消えている。 一日に何度も、これが起きています。
なぜ、散らかるのか
原因を分けます。
置き場所のルールが、ない
一番の原因はこれです。誰がどこに保存するか決まっていないと、それぞれが自分の分かりやすい場所に置きます。
その人にとっては完璧に整理されているが、他の人にはまったく見つからない。 悪気はありません。ルールが無いだけです。
名前の付け方が、バラバラ
「見積書_最新」「見積書20260415」「見積(修正版)」。同じ種類の書類でも、名前の付け方が人によって違います。
探すときは、名前で探します。 名前の規則がなければ、検索も効きません。
「最新版」が、どれか分からない
そして最も困るのが、これです。似た名前のファイルが並んでいて、どれが最新か分かりません。
「最終」「最終版」「最終_修正」「最終_修正2」「最終_これで確定」。笑い話のようですが、どこの会社にもあります。
置き場所が、複数ある
共有フォルダ、各自のパソコンの中、メールの添付、チャットで送ったもの、机の引き出しの紙。同じ情報が、いくつもの場所に散らばっている。
どこを探せばいいか分からないから、結局、思いつく場所を全部探すことになります。
原因と、打ち手を並べると
整理すると、こうなります。
| 散らかる原因 | 打ち手 |
| 置き場所のルールがない | 種類ごとに一箇所へ |
| 名前の付け方がバラバラ | 「日付+相手先+種類」に統一 |
| 最新版が分からない | 古いものは別の場所へ移す |
| 置き場所が複数ある | 正はここ、と決める |
見ていただくと分かるとおり、どれも道具ではなくルールの話です。 新しいサービスを契約しても、ルールがなければ、新しい場所で同じことが起きます。
片づけの順番
いきなりAIではなく、まず土台です。
段階①:よく使うものだけ、集める
全部を一度に整理しようとすると、まず終わりません。直近の一年で実際に使ったものだけを対象にしてください。
何年も開いていないファイルは、当面そのままで構いません。必要になったときに救い出せばいいのです。
段階②:置き場所を、一つに決める
種類ごとに、置き場所を一箇所ずつ決めていきます。見積書はここ、契約書はここ、マニュアルはここ、写真はここ。
大切なのは、保存するときに迷わないことです。 階層が深すぎると、しまう場所を探すことになり、本末転倒になります。二階層か三階層までで収めるのが目安です。
段階③:名前の付け方を、決める
規則は、単純なほどいいのです。「日付+相手先+種類」の順で並べるだけ。たとえば「20260415_〇〇商店_見積書」。
具体例を並べると、こうなります。
改善前
見積書_最新 山田商店様見積 20260415見積書 見積(修正版)
改善後
20260415_山田商店_見積書 20260420_山田商店_見積書_修正 20260512_田中工業_見積書
日付が頭にあるので、自動的に時系列で並びます。 誰の案件かも一目で分かります。「修正」を末尾に付ければ、どれが後のものかも明らかです。
そして、名前に「最新」という言葉は使わない。 半年も経てば、それはもう最新ではなくなっているからです。日付があれば、最新かどうかは見れば分かります。
段階④:古いものに、印をつける
使わなくなったファイルは、消すのではなく別の場所へ移します。「保管」という名前のフォルダを一つ作って、そこへ入れる。
消すのは怖いけれど、別の場所に動かすだけなら怖くない。 この心理をうまく利用すると、片づけは驚くほど進みます。
一番困っているのは、新しい人
もう一つ、見落とされがちな視点があります。
ベテランは、探せてしまう
長くいる人は、どこに何があるかを体で覚えています。フォルダの構造がどれだけ入り組んでいても、勘で辿り着いてしまう。
だから、ベテランほど「特に困っていない」と答えます。そして、片づけの必要性も感じにくいのです。
新しい人は、毎回つまずく
一方、入って半年の人はどうでしょうか。どこを探せばいいのか見当もつかず、結局は誰かに聞くことになります。聞かれた側は、手を止めて答える。この構造が、毎日繰り返されています。
そして、忙しそうな相手に聞くのは気が引けるものです。だから、黙っていつまでも探し続けている人もいます。
「分かる人がいる」は、危うい
「あの人に聞けば分かるから」で回っている状態は、その人が休んだ日に、止まります。 辞めてしまえば、もっと困ることになります。
情報の置き場所を整えることは、属人化を減らすことでもあります。 探し物の話が、実は事業の継続性の話でもあるのです。
AIが効くのは、ここから
土台ができたら、次の段階です。
「探す」が「聞く」に変わる
置き場所が整い、中身がAIに渡せる状態になれば、「去年の〇〇商店向けの見積書、どれ?」と聞くだけになります。
フォルダを何階層も掘る必要も、正確なファイル名を思い出す必要もありません。これが、いま実際に実現できることです。
中身で探せるようになる
ファイル名では探せないものも、探せるようになります。
「あの、急な変更に対応した案件のやつ」「駐車場の件が書いてあった書類」。人はファイル名ではなく、中身の記憶で探しています。 中身で探せることの価値は、想像以上に大きいのです。
「聞く」が、記録になる
そしてもう一つ。何を聞かれたかの記録が残ります。
よく聞かれる資料は、それだけ探しにくい場所にあるということです。その記録が、次に整理すべき場所を教えてくれます。 使われないものは、放っておいて構いません。
ただし、教材が古ければ意味がない
ここは繰り返しになりますが、大切な点です。古いファイルばかり渡せば、古い答えが返ります。
整理の質が、そのまま検索の質になります。 だから、順番なのです。片づけを飛ばした導入は、必ずどこかで行き詰まります。
最初の一時間で、できること
大がかりに構える必要はありません。一時間あれば、ここまでできます。
最初の十分で、一番よく探しているものを一つ決める。見積書でも、契約書でも、写真でも構いません。
次の二十分で、その置き場所を一箇所決めて、直近一年分をそこに集める。名前は、後で直せばいい。まず集めることです。
次の二十分で、名前を「日付+相手先+種類」に直す。全部でなくても、よく使うものから。
最後の十分で、決めたことを一枚の紙に書いて、共有する。「見積書は、ここに、この名前で」。それだけです。
これで、一つの種類は片づきました。 次の種類は、また別の日に。週に一時間ずつ積み上げていけば、三か月後にはかなり景色が変わっているはずです。
続けるための、小さな工夫
片づけた後の話です。
保存の瞬間に、決める
「後でまとめて整理しよう」の「後で」は、永遠に来ません。保存するその瞬間に、決めた場所へ、決めた名前で置く。 やることは、これだけです。
習慣になるまで一か月ほどかかりますが、一度身についてしまえば、意識する必要すらなくなります。
新しい人が入ったら、必ず伝える
ルールを知らない人が一人いるだけで、散らかり始めます。入社時に伝える項目の一つに、これを入れてください。 最初に教われば、その人はそのやり方で覚えます。
一枚の紙で足ります。どこに、どんな名前で保存するか。それだけです。
三か月に一度、五分だけ見る
全体の完璧な点検は要りません。直近に追加されたものだけを、三か月に一度眺める。 ルールから外れているものがあれば、その場で直します。
溜めてから片づけるより、はるかに楽です。
例外を、責めない
ルールから外れた保存を見つけても、責めないでください。責められると、人は次から相談しなくなります。 そして、見えないところで元のやり方に戻ります。
「ここに移しておきますね」で十分です。続けることのほうが大切です。
やってはいけない、三つのこと
やってはいけない①:片づける前に、AIを入れる
散らかった状態のままAIに渡しても、良い結果は出ません。古い資料と新しい資料が混ざっていれば、AIはどちらが正しいか判断できません。
順番を守ってください。片づけが先、AIは後です。この順番を飛ばす型の失敗は、AIに飛びついた中小企業が、半年後に後悔する3つのパターンにもまとめています。
やってはいけない②:完璧な分類を目指す
細かく分けすぎると、今度は保存するときに「どこに入れるか」で迷うことになります。分類は、粗いほうが続きます。
迷ったときに入れる「その他」があっても構いません。完璧な分類体系より、雑でも続く仕組みのほうが、はるかに役に立ちます。
やってはいけない③:一人で全部やろうとする
情報の片づけは、全員が関わる話です。一人が整理しても、他の人が元のやり方を続ければ、また散らかります。
ルールを決めるのは一人でいい。でも、共有だけは全員に。 ここを飛ばすと、せっかくの労力が無駄になります。
「AIを制御する技術」×情報整理──Milestoneの視点
私たちがAIの窓口や社内向けの仕組みを作るとき、最初に伺うのが資料の状態です。そして、正直にこう申し上げることがあります。「まず、片づけましょう」と。
その片づけ作業自体は、私たちの売上にはなりません。 それでも先にお伝えするのは、散らかったままAIを入れても、期待された結果が出ないと分かっているからです。そして、結果が出なければ「AIは使えない」という誤った結論になってしまいます。
「AIを使う」のではなく「AIを制御する」というとき、制御される側の材料が整っていることが大前提になります。良い教材があれば、良い窓口ができる。 逆は成り立ちません。
そして、この片づけには副産物があります。社内の情報が整理されると、AIを入れる前の段階で、すでに仕事が速くなる。 それはそれで、十分な成果だと思うのです。静岡のシステム会社として地元の会社と接していると、長年の資料が確かに積み上がっている会社が多くあります。それを使える形にするところから、お手伝いします。
よくある質問(FAQ)
Q1.どこから手をつければいいですか? A.一番よく探しているものから、で構いません。「これ、いつも探してるな」と思い当たるものが、必ずあるはずです。一種類だけ、置き場所と名前を決める。それが最初の一歩になります。
Q2.古いファイルは、消していいですか? A.いきなり消す必要は、まったくありません。「保管」という場所を作って、そこへ移すだけで十分です。何年も誰も開かなければ、そのときに判断すればいい。 消すことは、いつでもできます。
Q3.紙の書類は、どうすればいいですか? A.全部を電子化する必要はありません。よく探すものだけを、写真に撮って保存するところから始めてください。紙の保管場所も、置き場所を決めるという意味では同じ考え方です。
Q4.社員がルールを守ってくれません。 A.ルールが複雑すぎる可能性があります。守られないルールは、たいてい難しすぎるのです。 三行に収まる程度まで簡単にしてみてください。それでも守られないなら、伝え方の問題かもしれません。
Q5.AIに渡すと、社外に情報が出ませんか? A.どのデータを、どの範囲で扱うかは、設計の段階で決められます。社外に出すべきでない情報は、最初から対象に含めない形も取れます。静岡のシステム会社として設計に入るときも、まずこの線引きから決めています。扱いの範囲から相談していただくのが安全です。
Q6.整理にどれくらい時間がかかりますか? A.対象を絞れば、数時間から始められます。「直近一年の見積書だけ」なら、半日かからないこともあります。全部やろうとすると終わらないので、絞ってください。
Q7.クラウドのサービスを使えば解決しますか? A.残念ながら、道具を変えただけでは解決しません。ルールがなければ、新しい場所でも同じことが起きます。ルールが先、道具は後です。
Q8.整理した先に、何ができるようになりますか? A.探す時間が減るのはもちろん、社内向けのAI窓口の土台ができます。「あの資料どこ?」を人に聞かず、聞けば答えが返る状態へ。マニュアル作りや引き継ぎも、格段に楽になります。
Q9.片づける時間が、そもそも取れません。 A.全部やろうとするから、時間が要るのです。**「一番よく探すもの、一種類だけ」**なら、一時間で終わります。そして、その一時間が毎日の数分を減らします。効果を感じてから、次に進めばいいのです。
Q10.誰が主導すればいいですか? A.一番探し物をしている人か、一番新しい人が向いています。ベテランは困っていないので、必要性を感じにくいのです。 実際に困っている人が旗を振るほうが、続きます。決めたルールを共有するのは、経営の仕事です。
Q11.メールの添付ファイルも、整理すべきですか? A.よく使うものだけ、共有の場所へ移してください。メールの中は本人しか探せないため、他の人が必要とする資料がメールの中にあるのは、属人化そのものです。全部移す必要はありません。誰かが探しそうなものだけで十分です。
Q12.何から相談すればいいですか? A.いまの保存状況を、そのまま見せていただくのが一番早いです。静岡のAI会社として、どこから手をつけると効果が大きいか、その場でお伝えできます。
探す時間は、誰にも見えないまま消えている──株式会社Milestone
「あのファイル、どこ?」の数分は、記録されません。でも、確実に積み上がっています。
使うものを集める。置き場所を決める。名前の規則を決める。古いものは移す。ここまでが土台です。そのうえでAIに渡せば、「探す」が「聞く」に変わります。
順番を間違えないでください。 散らかったままAIを入れても、一緒に探し回るだけです。
そして、片づけそのものにも十分な価値があります。AIを入れる前の段階で、すでに仕事は速くなるのですから。
私たちMilestoneは、静岡のAI会社・システム会社として、静岡県沼津市を拠点にAIシステムとAIチャットボットの開発と導入支援を行っています。「AIを使う」のではなく「AIを制御する」を核に、土台づくりから順番を守って伴走します。
こんなご相談を歓迎しております
- どこから片づければいいか、一緒に決めたい
- 置き場所と名前のルールを作りたい
- 整理した資料を、社内AI窓口の教材にしたい
- 紙の書類の扱いから相談したい
- システム導入前の準備として相談したい
訪問対応(静岡県内・隣接エリア)、オンライン対応(全国)、どちらでも可能です。静岡のシステム会社として、県内は対面でも伺えます。30分ほどお話を伺うだけで、最初に手をつけるべき場所と、その順番は、たいてい見えてきます。
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株式会社Milestone(マイルストーン) 代表取締役 大石 湧斗(おおいし ゆうと) 所在地:静岡県沼津市
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