静岡のAI会社が語る導入事例のリアル──小売・宿泊・建設・製造・士業、5つの現場から【2026年版】

中小企業基盤整備機構の2026年3月の調査で、AI導入の壁として最も多く挙げられたのは「成功事例や活用事例などの情報」の不足でした。実に83.3%。つまり多くの経営者を止めているのは、AIの難しさではなく、「うちみたいな会社が、実際どう使っているのか」が見えないことです。この記事は、その壁への、私たちなりの回答です。

私たち株式会社Milestoneは、静岡県沼津市を拠点にAI開発とシステム開発を手がけている会社です。ここでは、私たちが関わってきた現場の中から、業種の異なる5つの事例を選び、「困りごと→作ったもの→変わったこと→学び」の同じ型でお伝えします。いずれも、会社が特定されないよう匿名化と加工を施していますが、現場で起きたことの本質はそのままです。

華々しい成功譚を並べるつもりはありません。どの現場も、始まりは「電話が多い」「日報が面倒」といった、ごく普通の困りごとでした。だからこそ、読みながら貴社の現場と照らし合わせてほしいのです。読み終える頃には、「うちなら、ここからだな」という一歩目の輪郭が見えているはずです。

事例を読む前に──「他社の話」を「自社の材料」に変える3つの質問

事例は、眺めるものではなく、照らすものです。次の3つの質問を頭に置いて読んでください。

質問①:この会社の「困りごと」は、うちの何に似ているか

業種が違っても、困りごとの骨格は驚くほど似ています。「同じ質問に何度も答えている」「書く仕事が現場を圧迫している」「あの人しか分からない業務がある」。業種ではなく、困りごとで自社と重ねるのが、事例の正しい読み方です。静岡の経営者の方々とお話ししていても、業種の壁を越えて響くのは、いつも困りごとの共通性です。

質問②:効果は、「何が消えたこと」で生まれているか

AIの効果は、何かが増えることより、何かが消えることで生まれます。電話が消えた。転記が消えた。「ちょっといいですか」の割り込みが消えた。各事例で何が消えたのかに注目すると、貴社で消せるものも見えてきます。売上を増やす打ち手より、無駄が消える打ち手のほうが、効果は早く、確実に現れます。

質問③:うちでやるなら、最初の一歩はどこか

5つの事例はどれも、全社改革ではなく、業務ひとつから始まっています。読み終えたとき、貴社の「最初のひとつ」の候補が浮かんでいれば、この記事の役目は果たされています。どの話も、静岡で商売をする貴社のすぐ隣で起きていても不思議のない、等身大の変化です。

事例①:老舗呉服店──電話が減り、問い合わせが「資産」に変わった

最初は、静岡県内の老舗呉服店の話です。

困りごと:接客の合間に鳴り続ける、問い合わせの電話

「この支払い方法は使えますか」「小物はレンタルできますか。別料金ですか」。日々の問い合わせは、内容としては定型的なのに、一件一件が接客の手を止めます。営業時間外にいただいた質問には、翌日まで答えられないことも悩みでした。

作ったもの:お店らしい言葉遣いの、AIチャットボット

ホームページ上に、料金・支払い方法・レンタルの詳細・サービス内容に24時間答えるAIチャットボットを導入しました。こだわったのは言葉遣いです。機械的な応答ではなく、このお店らしい、親しみのある話し方になるよう会話を設計しました。

変わったこと:対応が楽になり、そして「発見」があった

定型的な問い合わせの一次対応をAIが受け持つようになっただけではありません。会話の記録を眺めていて、思わぬ発見がありました。想定よりずっと多かったのが、小物まわりの相談だったのです。お客様が何に迷い、何を不安に思っているか。その生の声が記録として蓄積され、案内の仕方や打ち出す情報を見直す材料になりました。アンケートでは決して集まらない、選ぶ前のお客様の本音です。問い合わせ対応の道具が、いつの間にか経営の資源に変わっていたのです。

この事例の学び

AIチャットボットは「答える道具」であると同時に、「お客様の声を聞く道具」です。導入の目的が対応の効率化でも、手に入るのはそれだけではありません。

事例②:伊豆の旅館グループ──多言語の一次対応で、フロントに余白が生まれた

次は、静岡県伊豆エリアで複数の施設を営む旅館グループです。

困りごと:予約前の質問も、館内の案内も、外国語も、全部フロントへ

宿泊予約に関する質問、館内施設の案内、周辺観光のおすすめ。あらゆる問い合わせがフロントに集中し、繁忙期にはお客様をお待たせする場面も生まれていました。静岡の観光地に共通する、繁忙期の風景でもあります。増え続ける外国人のお客様への対応も、スタッフの語学力頼みという不安がありました。

作ったもの:日本語・英語・中国語で答える、24時間のAIチャットボット

予約案内・館内施設・周辺観光情報に24時間対応するAIチャットボットを、多言語で構築しました。海外からの問い合わせにも、深夜の質問にも、その場で答えが返る形です。

変わったこと:時差も夜間も、取りこぼさない

海外のお客様は、日本の深夜に問い合わせをしてきます。これまで翌朝まで待たせていた質問に即座に答えられるようになり、予約前の不安を取りこぼさない体制ができました。問い合わせに答えられないことは、目に見えない機会損失。その穴が、静かに塞がった形です。フロントは、目の前のお客様へのおもてなしに、より多くの時間を使えるようになっています。

この事例の学び

繁閑の波が大きく、時差のあるお客様を迎える現場ほど、「眠らない一次対応」の価値は大きくなります。人を増やさずに、受け止める力を増やす道があるのです。

事例③:建設会社──現場監督の2時間が、現場に戻った

3つ目は、建設会社の現場の話です。

困りごと:日報・チェック・確認の事務が、現場監督を机に縛る

現場を見るべき監督が、日報の作成、安全管理のチェック、資材の発注確認といった事務作業に追われ、夕方から机に張り付く毎日。書く仕事が、現場の時間を静かに削っていました。

作ったもの:話すだけで日報ができる、現場管理のAI

現場でスマートフォンに話しかけるだけで日報が整った文章になる音声入力を軸に、安全管理チェックリストへの対応、資材の発注確認、天候に応じた作業計画の提案までを行う、AI搭載の現場管理の仕組みを開発しました。

変わったこと:事務作業が1日あたり約2時間減った

現場監督の事務作業は、1日あたり約2時間削減されました。歩きながら話せば日報が終わる。夕方の机仕事が消え、その時間はそのまま現場と、早い帰宅に戻っています。

この事例の学び

「書く」を「話す」に変える。たったそれだけの設計変更が、現場系の仕事では最も大きな時間を生みます。デジタルが苦手な現場ほど、効果は大きくなります。屋外や移動の多い静岡の建設・土木の現場とも、相性の良い形です。

事例④:精密機器の製造業──ベテランの頭の中を、全員のスマホへ

4つ目は、精密機器を作る製造業の工場です。

困りごと:手順も基準も、「あの人に聞かないと分からない」

作業手順、品質管理の基準、安全規程、設備のメンテナンス手順。文書はあるものを探すのに時間がかかり、結局はベテランに聞くのが最速という状態でした。ベテランの負担は増え、若手は聞くことを遠慮し、その人が休むと現場が滞る。典型的な属人化です。

作ったもの:現場のスマホで聞ける、社内ナレッジAI

手順書・品質基準・安全規程・メンテナンス手順を読み込ませた社内AIチャットボットを構築し、現場の作業者がスマートフォンからその場で質問できるようにしました。

変わったこと:「聞く遠慮」が消え、ベテラン依存が解けた

分からないことを、誰にも気兼ねなく、その場で確認できる。この変化は、作業の速度だけでなく、現場の空気を変えました。ベテランは本来の仕事に集中でき、新人は自走が速くなる。属人化の解消が、そのまま人手不足対策になった形です。

この事例の学び

人が採れないなら、まず「聞かないと分からない」を減らすこと。属人化の解消は、採用より先に、今日から着手できる人手不足対策です。製造の裾野が広い静岡では、この属人化の悩みを本当によく伺います。

事例⑤:税理士法人──定型の質問を手放し、専門の時間を守る

最後は、士業の現場、税理士法人です。

困りごと:顧問先からの「よくある質問」が、専門業務を圧迫する

申告の期限、届出の書類、経費処理のルール。顧問先からの問い合わせは大切な接点ですが、同じ質問への回答が繰り返され、本来の専門業務や、踏み込んだ相談の時間を圧迫していました。

作ったもの:顧問先向けの、24時間AIチャットボット

税務・経理に関するよくある質問に24時間自動回答するAIチャットボットを構築しました。機密性の高い領域だからこそ、答えてよい範囲の線引きを厳密に設計し、個別の判断が必要な相談は必ず担当者に引き継ぐ形にしています。

変わったこと:定型対応が自動化され、相談の質が上がった

顧問先はいつでも基本的な確認ができるようになり、事務所側は定型対応から解放されました。空いた時間は、顧問先ごとの踏み込んだ相談へ。「すぐ答えが返る事務所」という体験は、顧問先との関係にも良い形で効いています。

この事例の学び

機密を扱う士業でも、答える範囲に線を引けば、AIは戦力になります。むしろ線引きの設計こそが、専門職のAI活用の核心です。顧問先との信頼が命の静岡の士業の皆様にも、この考え方はそのまま使えます。

5つの事例を、1枚で

事例業種困りごと作ったもの変わったこと
小売(呉服店)定型の電話が接客を止めるお店らしい言葉のAIチャットボット24時間対応+会話ログが経営資源に
宿泊(旅館)問い合わせと外国語対応がフロント集中日英中・24時間のAIチャットボット時差も夜間も取りこぼさない体制
建設日報・チェックの事務が監督を圧迫話すだけの日報+現場管理AI事務作業を1日約2時間削減
製造手順も基準もベテラン依存スマホで聞ける社内ナレッジAI属人化が解け、新人が自走
士業定型質問が専門業務を圧迫範囲を線引きした顧問先向けAI定型対応の自動化と相談の質向上

この表は、社内の検討資料にそのままお使いください。右端の「変わったこと」だけ眺めても、効果の形は一つではないと分かるはずです。

5つの現場に、共通していた3つのこと

業種はバラバラでも、うまくいった現場には共通点がありました。

共通①:入り口は「一番困っている業務ひとつ」

どの会社も、全社改革から始めていません。電話、日報、よくある質問。一番困っている業務をひとつ選び、そこだけを仕組みに載せた。小さく始めたからこそ、現場が受け入れ、効果が見え、次の一歩につながっています。大きな計画は要りません。小さな成功が、次の投資の一番の説得材料になります。

共通②:現場を見てから、設計している

5つの事例のすべてで、私たちは設計の前に現場を見せていただいています。どんな質問が来るのか、誰がいつ使うのか、どんな言葉遣いがその会社らしいのか。「AIを制御する技術」──答えてよい範囲の線引きも、その会社らしい応対も、判断に迷ったら人へ引き継ぐ流れも──その材料はすべて、現場に落ちていました。静岡のAI会社として現場に通えることが、この5つの事例の土台にあります。そして現場が静岡県内なら、この材料集めは、導入後も何度でもやり直せます。

共通③:導入して終わりではなく、育てている

呉服店様の「小物の発見」が象徴するように、AIは動き始めてからが本番です。会話の記録を見て、答えを磨き、業務の変化に合わせて範囲を更新する。この育てる工程まで含めて、事例の効果は生まれています。静岡県内のお客様との定期的なやり取りも、まさにこの育てる工程そのものです。

事例を、貴社で再現するには

最後に、この5つを「読んだだけ」で終わらせないための手順です。

まず、5つの困りごとの中から、貴社に一番近いものを選んでください。次に、その業務の流れと困りごとを、紙一枚に書き出します(棚卸しメモと呼んでいます)。そして、そのメモを持って相談してください。事例はあくまで他社の答えです。相談の場でやるべきことは、事例を貴社の業務の言葉に翻訳し直すこと。似た事例があるほど翻訳は速く、精度も上がります。静岡県内であれば、私たちが現場にうかがい、実際の業務を拝見しながらこの翻訳をご一緒します。静岡の中小企業の現場は、車で回れる距離にあります。だからこの翻訳を、机の上ではなく現場でできるのです。

よくある質問(FAQ)

Q1.この記事の事例は、実在するのですか? A.はい。私たちが関わった実際の取り組みをもとにしています。ただし、会社が特定されないよう、匿名化と一部の加工を施しています。守秘は私たちの仕事の前提であり、貴社のご相談内容も同じように守られます。静岡県内の狭い商圏だからこそ、匿名化には特に気を配っています。

Q2.うちの業種の事例がありません。参考になりますか? A.なります。事例は業種ではなく、困りごとで読んでください。「同じ質問が繰り返される」「書く仕事が重い」「属人化している」──この骨格は業種を越えて共通で、5つの事例のどれかは、きっと貴社のどこかに似ています。実際、この5業種以外にも、静岡県内のさまざまな現場からご相談をいただいています。

Q3.効果は、どのくらいの期間で出るものですか? A.開発そのものは数週間単位で形になるケースが多い一方、効果の実感は運用に入ってからです。目安として、まず1〜3カ月使い、記録を見ながら磨く。事例③のような時間削減も、事例①のような発見も、その先に生まれています。効果は導入日ではなく、育てた日数に比例します。

Q4.事例ごとの費用は、いくらだったのですか? A.個別の金額は守秘のため開示していませんが、考え方はお伝えできます。範囲を絞った小さな形なら数十万円台から、連携や機能が広がるほど積み上がる構造です。貴社の困りごとを伺えば、概算はその場でお示しできます。

Q5.事例と同じものを、そのまま作ってもらえますか? A.「同じ骨格で、貴社の現場に合わせて設計し直す」のが正しい進め方です。同じ業種でも、言葉遣いも判断基準も会社ごとに違います。そのまま移植したAIは、貴社らしく働きません。骨格は借りて、中身は貴社仕様に。ここは妥協しないでください。

Q6.もっと詳しく、事例の話を聞くことはできますか? A.はい。ご相談の場では、貴社の業種や困りごとに近い取り組みを、守秘の範囲でより具体的にお話しできます。「事例を聞きたいだけ」の段階のご連絡も歓迎です。静岡県内であれば、お会いして直接お話しするのが一番早い方法です。

Q7.静岡県外の会社ですが、参考にしていいですか? A.もちろんです。困りごとの骨格は全国共通です。なお、私たちは静岡県全域と隣接エリアには対面で、遠方にはオンラインで対応しています。

静岡でAI会社・システム会社をお探しなら、株式会社Milestoneへ

5つの現場に共通していたのは、特別な会社だったことではありません。普通の困りごとを、ひとつ選んで、現場に合う形で仕組みにした。それだけです。事例情報の不足という83.3%の壁は、こうして一つずつ、現場の話で崩していけると私たちは信じています。そして次の事例の主役は、静岡のどこかの、貴社かもしれません。

私たちMilestoneは、静岡県沼津市を拠点に、AIチャットボット開発・業務システム開発・AI導入支援を行っています。「AIを使う」のではなく「AIを制御する」を核に、この記事の5つの事例と同じように、貴社の現場を見て、貴社の言葉で動く仕組みを設計します。静岡のシステム会社・AI会社の事例を探している方も、自社の一歩目を決めかねている方も歓迎です。

こんなご相談を歓迎しております

  • 自社と似た困りごとの事例を、詳しく聞いてみたい
  • 5つの事例のどれかを、自社向けに翻訳してほしい
  • 何から始めるべきか、棚卸しから一緒に考えてほしい
  • 現場を見たうえで、現実的な提案がほしい
  • 静岡のシステム会社と、対面で事例を挟みながら話したい

訪問対応、オンライン対応、どちらでも可能です。30分ほどお話を伺うだけで、貴社にとっての「最初のひとつの輪郭」は、たいてい見えてきます。

▶ ご相談・お問い合わせ https://milestone-net.com

「資料だけ見たい」「他社と比較検討中」というライトな段階のご連絡も、歓迎しております。

「やりたいをできるに、できるをできたに」。静岡の中小企業の長期パートナーとして、責任を持って伴走します。


株式会社Milestone(マイルストーン) 代表取締役 大石 湧斗(おおいし ゆうと) 所在地:静岡県沼津市

中小企業向けAIシステム開発・導入支援。「AIを使う」のではなく「AIを制御する」を経営の核に据え、業務にフィットしたAI導入を伴走型でご提案。静岡県全域と隣接エリアで対面対応可能。「やりたいをできるに、できるをできたに」をミッションに、貴社の長期パートナーとして責任を持ってご支援します。

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